がちゃこん!

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リバウンドを制するものは

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オフロード車的なスタイル、ホイールトラベル137mmというスペックの割りにフロントのストローク感が小さく、大きく姿勢変化しないオンロード車的な乗り味のTRACER。

その理由はリバウンドストロークの大きさにあります。写真はバイクに乗車せず、ハンドルにも触らずシートレールを掴んで車体を垂直に起こした後、サイドスタンド駐車状態に戻したもの。事前にダストシールに塗りつけたシリコンオイルの跡からみるに、25mm程沈み込んでいます。この状態でハンドルを引っ張り上げると7~8mmほどサスが伸びるので車重だけで30mm以上、体重72kgの僕がまたがった状態だと更に10mmほど縮むので合計で40mm前後はサスが縮んでいることになり、実質ホイールトラベルは100mm以下ということになります。

ホイールトラベルが小さいとギャップに乗り上げた時などの突き上げ感は大きくなりますが、リバウンドストロークが大きいのでタイヤが路面を離れにくくなるので、フロントが弾かれて進路が乱れるような危険な状態にはそうそう陥らないでしょう。フワフワとした判りやすい乗り心地の良さより、実質的な路面追従性を重視したマニアックなハンドリングといえるのではないでしょうか。

 

ここでちょいと  濱矢文夫の ニューモデル 試乗 最前線『YAMAHA MT-09 TRACER ABS』 | WEB Mr.BIKE より画像をお借りして他のバイクと比較してみましょうか。

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無人だとダストシールはタイヤのサイドウォールあたり、乗車時ではホイールリムの下まで縮んでいます。キャスター角もかなり変化しているはずですがカタログ値は無人と乗車どちらの値なんでしょうね。

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濱矢文夫の“最新モデル”試乗 Kawasaki Z1000 2014年モデル | WEB Mr.BIKE より。

同じくダストシールで比較すると無人だとホールリムの縁あたり、乗車時はリムの下。沈み込み量は20mmちょいといったところでしょうか。カタログ値ではZ1000のホイールトラベルは120mmとなっているのでTRACERと同じく実質100mm以下ですね。

 

ホイールトラベルが大きいのと小さいの、どちらが良いのかはライダーの好みや走行シーンでそれぞれ違ってくるので一概に言えませんが、少なくともTRACERに見た目だけでオフロード車的な(ストロークが長い=ブレーキで縮めたサスが戻ってくるまでの時間が長いので倒し込みのタイミングにも幅が有る)いい意味でユルいハンドリングを期待するとコレジャナイ感を味わうことになります。

 

車高もシート高も高い割りに脚長ではないサスペンション。これをどう活かすかはライダーの技量、経験値次第だと思います。ちなみに僕はどっちも足りてないです。